『日本書紀』皇極天皇二年五月十六日の月食記事と元嘉暦
国立天文台報, 15巻, 13 - 28, 2012年10月 (落合敦子, 渡辺瑞穂子, 相馬 充, 上田暁俊, 谷川清隆)


『日本書紀』皇極二年五月十六日条に記載される月食は元嘉暦で予測できることを 本論文で示す。その予測で, 平朔法の計算なら前日(五月十五日)の 午後九時四十五分が食の最大であった。定朔法の計算では、 五月十六日の日の出後である。日本では見えない食であることも分かる。 『日本書紀』の食の日付が五月十六日であることを考えると、 予測されていたとすれば、平朔ではなく定朔であったはずである。 この問題については古くより歴史学者、天文学者の間で論議がなされてきた。 しかし、実見できないこの月食記事を国史に記載した理由については 確たる答えは得られていない。本論文中では、記載の理由について考察する。 また七世紀に行用されたとされる元嘉暦での計算を、 わかりやすく解説することも本論文の目的の一つである。

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