ポアンカレ・バーコフの不動点定理の証明
Proof of the Poincare-Birkhoff fixed point theorem
M. Brown and W.D. Neumann, Michigan Math. J. 24(1977), 21-31
ポアンカレ・バーコフの不動点定理(ポアンカレの最後の幾何学定理とも呼ばれる)の
主張によれば、円環のいわゆる保測ねじれ写像には不動点が少なくとも2つある.
この定理はポアンカレ[3]が死の直前に予想として定式化し、特殊な場合について
証明した.1913年にジョージ・バーコフ[1]は証明を発表した.ただしこの証明は
1つの不動点に関しては正しいが、2つ目の不動点の存在を導くのに1つ目の不動点が
指数0を持つ可能性を見逃していた.この間違いは1925年の自身の論文[2]で
修正された.この第二の論文では「保測」の仮定を純粋に位相的な条件に置き換え、
「同相写像」をもっと一般の状況に置き換えて、定理を一般化して証明した.
ところが、数学者の中には、この証明も間違っていると主張する人がおり、
ここ数年、2つ目の不動点の存在の正しい証明を得ようとするいくつかの広範囲に
わたる努力がなされてきた.
この論文では、1つ目の不動点の存在に関するバーコフの有名なもともとの証明を
単純に修正して2つの不動点の存在を示す初等的な証明を与える.第二の不動点を
得るための修正は、バーコフが1925年に位相版の証明の際に1つの不動点から2つの
不動点を得るのにスケッチしたものと本質的に同じである.
したがって、この論文はある意味で解説的な論文である.証明を可能な限り見通し
よくするために、各境界を一定の角度だけ回転する円環のねじれ同相写像という
もっとも簡単な状況に制限する.最終節で指摘するように、証明はこの制限を
取り去った場合へほぼ一語一語翻訳可能である.また、証明は円環上の標準的
リュベーグ測度以外の一般の測度へも拡張できる.
証明は疑惑にさらされているバーコフの証明に非常に近いので、必要以上に詳しい
記述を行なった.これはこの論文が解説的な性格を持つことと軌を一にしている.
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