多惑星系の安定性
The stability of multi-planet systems
J.E. Chambers, G.W. Wetherill, and A.P. Boss, ICARUS 119(1996), 261-268



離心率も軌道傾斜角も小さい2個の小さな惑星が太陽を回っているとき、初期軌道 半長径の差Δが相互ヒル半径R_Hで測って2 √3より大きければ、 エネルギーと角運動量の保存により、軌道は安定である. この論文では惑星の数が もっと多い場合に数値積分で系の安定性を調べる. Δ < 10ならつねに 不安定であって, bとcを定数として, 最初の大接近までの時間tは近似的に log t = b Δ + cで与えられることが判った. Δ > 10であっても系は 不安定であり得る. Δを従来のようにR_H ∝ m^{1/3}とせずに, m^{1/4}を 単位にして測ると, 傾きbは惑星の数に弱く依存し, 惑星の質量mには依存しない. 複数惑星の惑星系が不安定であるのは, 各2惑星部分系のエネルギーと角運動量が, 他の惑星の摂動により保存しなくなるためである. この結果から示唆されるように, 惑星胚が孤立するようになるのは, 地球型惑星の形成の最終段階になって二体近接 衝突が起こらなくなってからである. この段階では, 孤立化のほかの要因も否定 できない.


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