パソコンの仕組みを探る(担当:富阪幸治)
今回の目的はパソコンあるいはコンピュータの動作する仕組みや中身を知ることである。
◎終了後のレポート課題
:パソコンはどんな役割をする部品から成り立っているかをまとめなさい。レポートはtomisaka@agano.ed.niigata-u.ac.jpあてに電子メールで送ること。なお表題[Subject]欄にはreportもしくはレポートと記載すること。
計算機の仕組み
計算機は、メモリ(材料は半導体)に記憶されたプログラムを
CPU(中央処理装置:材料は半導体)が1つずつ取り出して、それを逐次に実行して行くことによって動作する。CPUは計算機の計算・動作を制御しているが、どのような動作をするかはこのプログラムに書かれている。また、実行中に必要なデータについてもメモリに記憶される。したがって、ワープロを実行しているとき(単純には)ワープロのプログラムと編集中の文章などのデータはメモリに記憶されている。メモリの量は限られているので、当面必要のないプログラムやデータはハードディスクに置かれるが、実行される時にはメモリにコピーされて実行される。
このようにされるのは、メモリは量は比較的少ないが(
16-64MB程度)、CPUが読み書きする時間が早く(100n秒程度)、ハードディスクは量は比較的多いが(1-2GB程度)、読み書きする時間が遅い(10m秒程度)であるからである。したがって、ワープロなどプログラムを快適に使うには、プログラムやデータをなるべく多くメモリ上に記憶する必要があることが分かる。このためにはメモリの量が重要であることが分かるだろう。
それに対して、いくつものプログラムを使えるようにしておくためには、ハードディスクに多くの種類のプログラムを記憶しておく必要があり、そのためにハードディスクの量が多いことが重要であることも分かるだろう。また、画像情報など大量のデータを保存しておくような使用法をする場合はハードディスクの量が必要である。
ハードディスクでは(フロッピーディスクやオーディオ・テープに塗布されているものと同様の)磁性体が塗られた複数の円盤が1つの軸に取り付けられ毎秒
100回程度の回転数で回転しているものである。データの読み書きは磁気ヘッドが電磁石によって目的の場所に移動しておこなう。したがって、回転が速く、磁気ヘッドの移動が高速なものほど読み書きに要する時間が短いことが分かる。ハードディスクは高速回転するディスクに(接触はしていないが)近接して磁気ヘッドが取り付けられている精密な機器である。埃などはこの機構にダメージを与えるため、現在ではクリーン・ルーム(空気中の埃が非常に少なくなるようにした半導体製造や精密機器組立に用いられる部屋)で組み立てられて出荷される。したがって、内部を分解することは行ってはならない。
パソコンを分解してみよう
この授業では計算機の使用法を収得することに主眼を置き計算機の仕組みやハードウエアに関する学習は行っていなかったが、今回はパソコンの内部がどうなっているかを分解しながら学習する。
パソコンの外観
パソコン本体の裏に回ると、いくつかのケーブルがつながっていることがわかる(図2)。
黒いケーブルは電源でパソコンに電源を供給している。カールしたケーブルはキーボードへ、その下側の白いケーブルはマウスに接続されている。黒い太いケーブルはディスプレイのものである。写真では見にくいが一番下にネットワーク
(LAN)に接続するケーブルが見える。
パソコンの内部
現在のパソコンは新たな部品を容易に装着することを目的として、横蓋や裏蓋を取り外しやすくできている。
次に、横のふたをはずして内部を見てみよう。写真(図3)で右側が前、左側が後ろ側である。
ベイ
前側の白い金属製のケースはハードディスク・ドライブ、プロッピーディスク・ドライブ、
CD-ROM・ドライブなどが格納されているベイと呼ばれる部分である。幅が異なるそれぞれ5インチベイ、3.5インチベイと呼ばれる2種類がある。パソコンにこれらの部品を増設する場合は、どの幅のベイがあいているかを調べ、それに合ったものを購入しなければならない。
マザーボード
左(後ろ)側に見えている大型の基盤(
ICなどの部品を取り付ける板。裏側に配線がされている)をマザーボードとよび、この上にパソコンの主要な構成部品、CPU、メモリ、グラフィック・コントローラなどのコントローラが配置される。
CPU
マザーボードの中央に
CPU(中央処理装置)が見える。角が生えたように見えるのは高温になるCPUを冷却するために放熱の効率を上げるためのヒート・シンクが上部についているためである(図4)。白い部分は
CPUを取り付けるソケットで横のレバーを立てればCPUは取り外せる。このようにしてより高速のCPUに取り替えることができる。
メモリ
CPU
の前側(右)にはメモリ・スロットがみえる。図5の拡大図を見るとこのマシンでは4つのスロットの内3つに、SIMM (Simultaneous Inline Memory Moduleシム)と呼ばれるメモリが装着されている。上下でメモリを押さえている爪をはずすことによって、メモリは容易に取り外しが可能である。現在この種のメモリは8MB、16MB、32MB、64MBなどの容量のものが市販されており、増設することによってメモリ量を増やすことができる。
ただし、機種によって使用できるメモリの種類(パリティ・ビットの有無、半導体の違い[
Fast Page RAMとEDO RAM]、SIMMとDIMM)が異なること、また2枚1組で使用する必要がある機種があることに注意する必要がある。メモリ・スロットがすべて使われている場合には、小容量のメモリを捨てて大容量のそれと交換する必要があるので、メモリ量を拡張する計画を持っている場合には注意が必要である。
拡張スロット
マザーボードの下部には拡張スロットが見える(図3)。ここには、パソコンに標準で備えられていない機能を持たせるための拡張ボードが差し込まれている。たとえば、
LANに接続するためのボード(図7の下側)、音源ボード(図7の上側)、パソコン通信をするためのモデム・ボード、ビデオの信号をパソコンに取り込むビデオ・キャプチャー・ボードなどがこれにあたる。現在のパソコンには
PCI、ISA(IBM PC互換機)、Cバス(PC9801)という拡張バスの規格が存在する。機能拡張を計画するためには自分のパソコンがどのような拡張バスをいくつ備えているかを知っておく必要がある。拡張スロットのボードをマザーボードに装着すると、外部へのケーブルの口がパソコン本体の後ろ側に開口する形になっている。
現在のパソコンは標準的な部品を組み立てることによってできあがっている。したがってメーカが販売しているパソコンであっても、新たな機能を付け加えたり、ハードディスクやメモリの容量を増やすこと、さらには、
CPUを速度の速いものに変更するなどの増強が行えるようになっている。