小分母と古典および天体力学における運動の安定性
Small denominators and problems of stability of motion in classical and celestial mechanics
V.I. Arnold, Uspekhii Math. Hauk, Russian Math. 18(1963),92-192.





序章
1. 結果, 2. 力学からの予備的結果, 3. 数学からの予備的結果, 4. もっとも単純な安定性問題, 5. 論文の内容
I 章. 摂動論
1. 力学の可積分および非可積分問題, 2. 古典的摂動論, 3. 小分母, 4. ニュートン法, 5. 固有縮退, 6. 注意 1, 7. 注意 2, 8. 固有縮退の問題への応用, 9. 極限縮退. バーコフ変換, 10. ハミルトン系の平衡位置の安定性
II 章. 断熱不変量
1. 断熱不変量の概念, 2. ハミルトン関数がゆっくり周期的変化する場合の作用の永劫断熱不変量, 3. 保存系の断熱不変量, 4. 磁気トラップ, 5. 多次元の場合,
III 章. 惑星運動の安定性
1. 運動の様子, 2. ヤコビ, ドローネー, およびポアンカレ変数, 3. バーコフ変換, 4. $\overline{F}_1$の展開係数の漸近的ふるまいの計算, 5. 多体問題,
IV 章. 基本定理
1. 基本定理, 2. 帰納定理, 3. 帰納補題, 4. 基本補題, 5. 短周期変数の平均に関する補題, 6. 基本補題の証明, 7. 帰納補題の証明, 8. 帰納定理の証明, 9. 微分同相写像の非縮退性に関する補題, 10. 高速変数に関する平均, 11. 極座標, 12. 帰納補題の適用性, 13. 極限への移行, 14. 基本定理の証明,
V 章. 技術補題
1. D型の領域, 2. 算術補題, 3. 解析補題, 4. 幾何学補題, 5. 収束補題, 6. 記法,
VI 章. 補遺
1. 可積分系, 2. 未解決問題, 3. 不変多様体の近傍, 4. 混合(intermixing), 5. 平滑化の技術,
参考文献
[1] 〜 [60]
古典力学の定性的問題の困難さはよく知られている. 長期にわたる多くの数学者 の努力にも拘らず, これら多くの問題は未解決である. ほんのごく最近, C.L.Siegelの仕事(1942)およびA.N.Kolmogorovの仕事(1954)によって力学系の 運動の安定性に関する問題を解くにあたってある程度の進展が見られた. とくに 1) 自由度2の保存系の平衡点および周期解の安定性はいわゆる 一般楕円ケースで証明された. 2) 作用変数の永劫断熱不変性が自由度1の非線形振動系において パラメータがゆっくり周期変化する場合に証明された. 軸対称磁場の「磁気トラップ」が荷電粒子を永遠に閉じ込め得ることが確 立された. 3) 多体問題において準周期運動が発見された. n惑星の質量が中心天体の質量 に比べて十分小さければ, ケプラー楕円の離心率と軌道傾斜角が小さいような 大多数の初期条件に対して運動は準周期的である. さらに, 軌道半長径は永遠に元の値の近くにとどまり, 離心率と軌道傾斜角は小さ いままとどまる. 本論文は, これらの結果に関して完全な証明を与える. いままで, ノートの形で これらは発表してきた[14]--[17]. 小分母に対する著者の興味はA.N.Kolmogorovの1957年の講義によって刺激された. この機会を借りて, この論文への関心に対してA.N.Kolmogorovに深い感謝の意を 表する. 著者は, 天体力学に関する仕事の部分に関してはV.M.Alekseevの助言を受けた. 1958年夏のL.A.ArtsimovichおよびM.A.Leontovichの論文から, 著者の注意は 磁気モーメントの永劫断熱不変性の問題に向けられた. B.V.Chirikovとの多くの 議論はこの疑問への研究を可能にするのに役立った. G.A.Mermanは原稿を注意 深く読み, いくつもの所見を述べてくれた. L.Yu.PiusはIII章4節の計算を 確認してくれた. 上に掲げた諸氏に感謝の意を捧げる. 数学者にはあまりよく知られていない力学の結果が必要であるとともに, 力学分野の研究者にほとんど知られていない数学的発想が必要である. 以下の2つの節で, これらについて述べる.

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