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FDS法、FVS法の数値流束

RoeのFDS法(既出)をこのように書き表すと、

 \begin{displaymath}\tilde{E}_{j+1/2}={(u\Phi)_j+(u\Phi)_{j+1} \over 2}
-{1 \ove...
...{-1})_{\rm Roe}\Delta_{j+1/2}Q
+{1 \over 2}( p_{j}+p_{j+1}),
\end{displaymath} (19)

$(R\vert\Lambda\vert R^{-1})_{\rm Roe}$は、グリッド境界j+1/2に対して近似Riemann解法 を用いて得られる値を表す。

またStegerとWarming(1981)流のFVS法(既出)は


 \begin{displaymath}\tilde{E}_{j+1/2}={(u\Phi)_j+(u\Phi)_{j+1} \over 2}
-\Delta_...
...bda^+-\Lambda^-)R^{-1}Q\right]
+{1 \over 2}( p_{j}+p_{j+1}),
\end{displaymath} (20)

と表せる。 ここで $(\Lambda^+-\Lambda^-)/2=\vert\Lambda\vert$

またvan Leer(1982: Lec. Notes in Physics 170, 507)とHanel et al. (1987: AIAA paper 87-1105-CP)流のFVS法は

 \begin{displaymath}\tilde{E}_{j+1/2}={(u\Phi)_j+(u\Phi)_{j+1} \over 2}
-{1 \over 2}\Delta_{j+1/2}\vert{\cal M}\vert c \Phi
+ p_{j+1/2},
\end{displaymath} (21)

のように書き表せる。 ここで、 $\vert{\cal M}\vert={\cal M}^+_{\beta=0}(M_j)-{\cal M}^-_{\beta=0}(M_j)$である。

これらと比べれて見れば明らかなように、 RoeのFDS法やStegerとWarming(1981)流のFVS法に含まれる ヤコビ行列式の演算がAUSMスキームには含まれていない。 そのため、計算時間が短くてすむことも特徴である。 また、RoeのFDS法とStegerとWarming(1981)流のFVS法の差はヤコビ行列式の値を 差分オペレータの外で評価するか (FDS法、ただしヤコビ行列式は近似Riemann解法によってjj+1両方の量に よっている)、中で評価するか(FVS法)の違いである。 そういう意味では、AUSM法はFDS法的な方法であるといえるが、 式(18)と式(21)を比較すると、 拡散係数としてマッハ数が選ばれている点が良く似ていることがわかる。 そういう意味では、AUSM法はFDS法とFVS法のハイブリッドな方法であるともいえる。



Kohji Tomisaka 平成12年2月21日