天体力学における特異性に関するvon Zeipelの定理
Von Zeipel's theorem on singularities in celestial mechanics
Richard McGehee, Exposiones Mathematicae 4(1986), 335-345



常微分方程式系の解が時刻t* < ∞において特異性を経験すると 言われるのは、解がt*を越えて延長できない場合である.古典力学のn体問題の 解に生じ得る特異性を完全に理解することは今日まで数学者の目を免れてきた. この特異性に関する興味は1895年、パンルベ[6]から始まるようだ.当時、 彼はすべての特異性は粒子同士の衝突によるかどうかを問うた.
パンルベの問題の解への重要な一歩をHugo von Zeipleが1908年に記した[15].彼は、 tがt*に近づくとき、すべての粒子の位置が有界なら特異性は衝突によるはずで あることを示した.言い換えると、有限時間に粒子系が非有界になるときのみ 非衝突特異性が生じ得る.
von Zeipelの論文は何年もの間、歴史の闇に埋もれ、また最近の引用によれば、 この論文の証明には「ギャップ」や「間違い」があるとほのめかされている [14, p.431; 10, p.15; 8, p.312].von Zeipelの4ページの論文は理想的な長さ よりも短すぎるかもしれないが、完全な証明に必要な本質的内容をすべて含んでいる. 実は、歴史的に見れば、印象的な洞察を含んでいる.
この論文の目的はvon Zeipelの証明を現代的な記法と用語に翻訳することにある. それをするにあたって、von Zeipelのもとの発想を当代の研究者にもっと容易に 得られるようにし、天体力学における特異性の理論へのvon Zeipelの貢献を明らかに するのが著者の望みである.

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