円環の面積保存写像の不変曲線について
On invariant curves of area-preserving mappings of an annulus
J. Moser, Nachr. Akad. Wiss. Gottingen Math.-Phys. Kl. II, 1-20(1962)



ポアンカレ[1]は制限三体問題の研究において, 円環からそれ自身の上への 面積保存写像の研究へと導かれていった. 実は, 彼はこのような写像の不動点の 存在に関する定理を述べたが, これは制限三体問題の無限個の周期軌道の存在 を示すために使うことができる. このプログラムへの洞察豊かな証明は後にG.D. Birkhoff[2]によって与えられた. 円環を研究することは, 広い類の非線形微分方程式にとって重要である. 制限 三体問題は本質的な困難を単純な形で示しており, 非線形微分方程式の モデルと考えることができる. 面積保存写像は摩擦のない運動を記述する 常微分方程式から生じる. この論文では, このような写像の閉不変曲線の存在を保証する定理を証明する. 閉不変曲線は, 写像を生成する微分方程式の概周期解に対応する. これらは 周期解の安定性を調べるために重要である.

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