国立天文台 理論研究部

Research Highlights

運動論シミュレーションで明らかになった
磁気リコネクションの大規模構造


プラズマがどのように加速・加熱されるかは、宇宙・天体プラズマ物理学における重要な問題の1つです。磁気リコネクションは、磁気エネルギーをプラズマの運動エネルギーに変換する現象として注目されていますが、その詳細な物理過程は明らかになっていません。これまでに提案された、運動論(ミクロ過程)モデルと磁気流体(マクロ過程)モデルとの間には大きな隔たりがあり、両者がどのように結合しているのかはよくわかっていません。本研究では、最新のスーパーコンピュータを用いて、大規模な運動論シミュレーションを実施することにより、ミクロ過程が大規模構造へとつながっていく結合過程を明らかにしました。特に、磁気流体近似では無視されるホール電流が広範囲にわたって流れることが見い出され、従来の磁気流体モデルが必ずしも妥当ではないことが示されました。本研究は、天文シミュレーションにおいて一般的に用いられる磁気流体近似が、大規模過程においても必ずしも適当ではないことを示唆する重要な研究です。
(2016/1/24)
"Ion and electron dynamics generating the Hall current in the exhaust far downstream of the reconnection x-line", Keizo Fujimoto and Makoto Takamoto (2016), Physics of Plasmas, 23, 012903
[doi] 藤本桂三 [personal website]



銀河の化学力学進化シミュレーションから探る
rプロセス起源天体


鉄より重い元素の多くは、rプロセスと呼ばれる元素合成過程により合成されます。これらrプロセス元素は銀河系の矮小銀河やハロー星で観測されています。しかし、その起源天体は未だ明らかになっていません。連星中性子星合体は、元素合成計算から、rプロセスの起源天体として有力視されています。ところが、連星中性子星合体は合体時間が長く、発生頻度も低いため、従来の銀河形成過程を考慮しない銀河の化学進化計算では、超金属欠乏星におけるrプロセス元素の観測値を再現できないという問題がありました。そこで本研究では、連星中性子星合体をrプロセス元素の主な起源天体として、矮小銀河の流体シミュレーションを行いました。シミュレーションでは、合体時間1億年の連星中性子星合体でrプロセス元素を放出しても、超金属欠乏星の観測値と矛盾しない結果が得られました。これは、矮小銀河では、星形成効率が低く、最初の星形成が始まってから3億年程度は銀河内の重元素量が増加しないためであることがわかりました。さらに、星形成領域での重元素の混合を考慮することで、連星中性子星合体が低い頻度で起こっても、極端に高いrプロセス元素組成を持つ星は形成されないことも示唆されました。銀河系もこのような星形成効率の小さい銀河の集積により形成されたならば、連星中性子星合体でrプロセス元素を合成したとしても、観測と矛盾しない可能性があります。
(2015/11/24)

"Enrichment of r-process Elements in Dwarf Spheroidal Galaxies in Chemo-dynamical Evolution Model", Yutaka Hirai, Yuhri Ishimaru, Takayuki R. Saitoh, Michiko S. Fujii, Jun Hidaka and Toshitaka Kajino
2015, The Astrophysical Journal, 814, 41 [ADS] [arXiv]
平居 悠 [personal webpage]



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