国立天文台 理論研究部

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中性子星におけるクォーク相の形成過程


中性子星の内部構造や進化過程はほとんどが未解明であり、宇宙物理と原子核物理にまたがる重要な問題の1つである。地上などの密度が低い場所では、クォーク3つで構成される中性子や陽子などのハドロンが存在するが、密度の高い中性子星ではハドロンが分解され裸のクォークからなる相が存在する可能性がある。しかし、そのクォーク相がどのように形成されるかは、よく分かっていない。そこで流体保存則とクォークの拡散、弱相互作用反応を同時に解くことで、ハドロンからクォーク相への転換の素過程を、詳細に調べた。結果として、不可能とされてきた吸熱条件下でのクォーク相形成が起こることや、不安定だと考えられていた境界面が安定である可能性が高いこと等を示した。この研究は、世界で初めてクォーク相形成の素過程を明らかにし、30年ほど信じられてきた予想をいくつも覆す重要な成果である。(2016/3/31)

"Hydrodynamical study on the conversion of hadronic matter to quark matter: I. Shock-induced conversion", Shun Furusawa, Takahiro Sanada, and Shoichi Yamada
Phys. Rev. D 93, 043018 [Journal] [ADS] [arXiv]

"Hydrodynamical study on the conversion of hadronic matter to quark matter: II. Diffusion -induced conversion", Shun Furusawa, Takahiro Sanada, and Shoichi Yamada
Phys. Rev. D 93, 043019 [Journal] [ADS] [arXiv]
古澤峻 [personal webpage]



宇宙における重元素の起源:
rプロセス元素の過少生成問題に解決の糸口


金・ウラン等、鉄より重い元素(rプロセス元素)の起源解明は、素粒子・原子核・天文学における今世紀最大の謎の一つである(Discover magazine)。柴垣翔太と梶野敏貴(東大・天文台)をはじめとする国際共同研究グループ(link)は、初期宇宙でまず超新星のrプロセスによって重元素が作られ始め、宇宙年齢10億年以後に遅れて起こった中性子星連星の合体における元素合成が徐々に寄与することによって、現在の太陽系rプロセス元素組成ができあがった、とする理論モデルを提唱した。この理論によって、元素量の極大値(質量数130, 165, 195)前後の同位体の過少生成問題が解決され、宇宙初期世代星と太陽系の元素組成間のユニバーサリティーをも説明できることが明らかになった。
図:太陽系rプロセス同位体組成比の観測値(黒丸)と理論予測との比較。理論曲線は、磁気流体ジェット型超新星爆発モデル(青)、ニュートリノ加熱型超新星爆発モデル(緑)、中性子星連星合体モデル(赤)からの寄与と全ての寄与の和(黒)。
(2016/03/25)

Relative contributions of the weak, main and fission-recycling r-process
S. Shibagaki, T. Kajino, G. J. Mathews, S. Chiba, S. Nishimura, and G. Lorusso, Astrophys. J. 816 (2016), 79. [Journal] [ADS] [arXiv]
柴垣翔太
梶野敏貴 (personal website)

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Research Highlights

スイング増幅により形成される銀河渦状腕の性質



銀河には渦状腕を持つものが数多く存在します。渦状腕を説明する理論モデルの1つにスイング増幅があります。 渦状腕は銀河回転のために徐々に巻き込まれていこうとします。 巻き込まれていく途中では、腕自身の重力の影響が強くなるため密度が増幅されて、はっきりとした渦状腕が形成されます。このようなメカニズムをスイング増幅と呼びます。 しかし、もしスイング増幅が働いた場合、どのような構造の渦状腕が形成されるのか、これまで詳しく研究されていませんでした。 そこで、理論解析とN体シミュレーションを用いて、形成される渦状腕の間隔や長さ、密度などを調べました。 その結果、腕の本数や腕の巻き込み具合といった構造を特徴付ける量が、銀河の回転速度勾配と星のランダム速度に関係があることが分かりました。 今後、これらの結果を観測やシミュレーションと比較することで、渦状腕形成におけるスイング増幅のはたす役割を理解できることが期待されます。
(2016/3/8)
"Galactic Spiral Arms by Swing Amplification", Shugo Michikoshi, Eiichiro Kokubo, 2016, Astrophysical Journal, [arXiv]
道越秀吾、小久保英一郎

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