国立天文台 理論研究部

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精密核物理でIa型超新星元素合成の謎にせまる



Ia型超新星は宇宙で最も激しい爆発現象の一つであり、宇宙の加速膨張の発見でも重要な役割を果たした天体現象です。ところが、その爆発機構の詳細はまだ明らかにされていません。Ia型超新星では地上では見ることのできない高温・高密度状態が実現され、不安定原子核による電子捕獲が次々に起きて、元素合成および超新星光度に重大な影響を及ぼすと考えられています。近年、実験技術の進展によって、私たちの共同研究者による新たな電子捕獲率(Gamow-Teller遷移強度)の理論予測が正しいことが示され、従来の元素合成計算で用いられてきた電子捕獲率は実験値と比べて定性的に違いがあることが判明しました。そこで本研究では、より現実的な原子核殻模型を用いて電子捕獲率を系統的に計算し、Ia型超新星の爆発的元素合成の計算に応用しました。その結果、クロム・鉄・ニッケル等の中性子数が過剰な同位体元素の過剰生成問題が解決され、爆発機構に関しても爆燃から爆轟に転じる爆発モデルがシリコンからニッケルまでの太陽系元素組成を系統的に良く再現できることが明らかになりました。
(2017/02/02)

図:(左上) Suzakuでとらえたティコの超新星残骸の画像 (C) RIKEN。 (右上)新たに計算されたGamow-Teller遷移強度。(下)理論計算による太陽系元素組成の再現。

"Impact of New Gamow-Teller Strengths on Explosive Type Ia Supernova Nucleosynthesis"
Kanji Mori et al., 2016, ApJ, 833, 179. [ADS]
森 寛治



宇宙の鉄はどこに?微小重力実験で迫る金属鉄の凝縮過程



北海道大学低温科学研究所、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、国立天文台理論研究部の研究チームは、観測ロケットS-520-28号機を用いた微小重力実験を行い、超新星爆発時に金属鉄の微粒子が作られる過程を再現しました。 この実験では、対流の発生を抑えた微小重力下において、鉄のガスから微粒子が生成する様子をその場観察し、鉄原子が固体として凝縮する際の付着確率(くっつきやすさ)を調べました。その結果、これまで100%と考えられていた付着確率が、実は0.002%程度であることがわかりました。これは、金属鉄粒子の生成は宇宙環境において非常に限定的なことを意味し、宇宙において鉄は化合物として存在している、または不純物として他の粒子に付着している、という可能性を示唆します。

詳しくは北海道大学のウェブリリースをご覧ください。

(2017/01/31)
"Pure iron grains are rare in the universe",
Yuki Kimura, Kyoko, K. Tanaka, Takaya Nozawa, Shinsuke Takeuchi, Yuko Inatomi
2017, Science Advances, 3, 1 [journal]
野沢 貴也 [personal webpage]



宇宙のレンズが裏付ける予想より速い宇宙の膨張


国際研究チームH0LiCOW(ホーリー・カウ)コラボレーションは、ハッブル望遠鏡やすばる望遠鏡などハワイそして全世界のたくさんの望遠鏡を用いて、強い重力レンズ効果を引き起こしている5つの銀河を観測し、宇宙の膨張率の値であるハッブル定数を従来の方法とは独立に調べました。その結果、これまで行われてきた超新星やセファイド変光星の観測で得られたハッブル定数の値と極めてよく一致していました。しかし、プランク衛星による宇宙背景放射の観測で得られた宇宙初期の観測に基づくハッブル定数の値とは一致しませんでした。この不一致は非常に興味深い問題です。この研究チームには、理論研究部のKenneth C. Wong研究員も参加しています。

詳しくはすばる望遠鏡のウェブリリースをご覧ください。
(2017/01/29)

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