国立天文台 理論研究部

Research Highlights

磁気リコネクション系における新しい電子軌道の発見


 宇宙空間でおきる磁気爆発現象(磁気リコネクション)の振る舞いは、 プラズマ粒子の複雑な運動によって支配されています。 その中でも電子の運動はプラズマ系の物理を考えるうえの最小構成要素です。 リコネクション系での電子運動は主にプラズマ粒子シミュレーションによって研究されてきましたが、 最近のシミュレーションが巨大になりすぎたせいもあって、 個々の電子軌道を見ることは少なくなってきました。 また、基本的な軌道のタイプも1980年代に出揃ったと考えられていました。
 本研究では、リコネクション系での電子の運動を検証するために、 粒子シミュレーションで得た2000万個の仮想電子の軌道を徹底的にサーベイしました。 その結果、静電場に跳ね返されて中央平面を横切らない軌道など、 これまで知られていなかったタイプの軌道を多数発見しました。 図は代表的な電子軌道の例ですが、このうち太字が今回見つかった新しい軌道です。 驚くべきことに、こうした新タイプの軌道を通る電子は数の大半を占めているため、 粒子軌道論とそのうえに構築された多くの議論を考え直す必要がある、と私たちは考えています。
 なお、本論文はアメリカ物理学協会(AIP)の19ジャーナルの週間ハイライト論文に選ばれました。AIP の ニュースリリース でも紹介していただいています。
(2016/10/06)
S. Zenitani and T. Nagai, Phys. Plasmas 23, 102102 (2016)
銭谷誠司 (private website)



横顔が輝く宇宙灯台:
謎の超高輝度X線パルサーの正体をスパコンがあばく


 X線で通常の何百倍も明るい天体は、ブラックホールに多量のガスが流れ込んで明るく光っていると考えられていました。しかし最近この明るい天体のなかに周期的な明滅を示すものが発見され、その正体が大問題となりました。ブラックホールでは周期的な明滅は起こらず、一方でブラックホール以外の天体では明滅は可能でも明るく光るのは難しいとされていたからです。国立天文台の川島朋尚氏らの研究グループは、大量な柱状のガスの横顔が輝く「新タイプの宇宙灯台モデル」を提唱し、スーパーコンピュータ「アテルイ」による計算で、中性子星でもブラックホールと同程度に明るく光り得ることを示しました。これは、従来の考え方に見直しを迫る結果です。
詳しくは天文シミュレーションプロジェクトのウェブリリースをご覧ください。
(2016/09/08)

Kawashima, T., Mineshige, S., Ohsuga, K. and Ogawa, T., 2016, PASJ, published online [PASJ] [arXiv]
川島 朋尚(国立天文台)、嶺重 慎(京都大学)、大須賀 健(国立天文台)、小川 拓未(京都大学)

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