国立天文台 理論研究部

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スーパーコンピュータ「京」を用いた計算で超新星爆発のニュートリノ加熱説が有望に


国立天文台 天文シミュレーションプロジェクトの滝脇知也 特任助教らの研究チームは、スーパーコンピュータ「京」を用いて超新星爆発の大規模数値シミュレーションを行い、超新星爆発がニュートリノ加熱によって起こる可能性を示しました。詳しくはこちらをご覧ください。
(2014/04/18)
A Comparison of Two- and Three-dimensional Neutrino-hydrodynamics simulations of Core-collapse Supernovae
Tomoya Takiwaki, Kei Kotake and Yudai Suwa
[ADS] [arXiv]
滝脇知也 (personal website)

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Research Highlights

宇宙背景放射と背景原初磁場 ---原初磁場効果の修正---


当研究で国立天文台理論研究部の山崎大氏 (現 特別客員研究員)は、 いままで見落とされていた背景原初磁場が宇宙背景放射に及ぼす影響を初めて解析した。 その結果、背景原初磁場を正しく考慮した場合、宇宙背景放射温度揺らぎの最初のピークの 位置を大きいスケールの方へずらし、振幅を小さくすることがわかった。 さらに、標準宇宙論パラメータと背景原初磁場のエネルギー密度との相関関係が無視できないことを示し、 宇宙背景放射から、原初磁場の生成過程の情報を取り出すことや、 原初磁場の非線形領域の時間進化モデルの検証ができることを示した。

*本研究は、2014年03月31日にPhysical Review Dにアクセプトされました。
CMB with the background primordial magnetic field
Dai G. Yamazaki, Accepted 31 March 2014
詳しくはこちらをご覧ください. 山崎 大 (private website)



運動論リコネクションにおける「磁気拡散」再考


 磁気リコネクションの物理では、磁力線の繋ぎ変わるX点付近を「磁気拡散領域」と呼んで重要視している。運動論プラズマでは、この磁気拡散領域と思われる領域の議論がとても難しいことが知られている。
 本研究では、この問題を基礎概念に立ち返って再検討した。移流する面要素を貫く磁束量が一定であるとき、磁束が流れに凍結していると言う(Newcomb 1958)。MHDでは電気抵抗由来の拡散項が磁束凍結条件を破るが、運動論ではこの関係は自明ではなくなる。そこで我々は、これまであまり議論されなかった磁束凍結の圧縮成分(図参照)に注目したうえで、「磁気拡散」が凍結状態への緩和過程で、なおかつ基準場の選び方に依る相対的な概念であると解釈した。そして、ブラソフ法による運動論プラズマシミュレーションで、リコネクション点付近に局在化して磁気拡散が起きることを確認した。
 この研究成果は、磁気拡散の概念を運動論プラズマに拡張するとともに、磁気拡散と磁力線の繋ぎ変えの関係という重要問題にヒントを与えるものである。
(2014/03/31)
Seiji Zenitani and Takayuki Umeda, Phys. Plasmas, 21, 034503
[Journal] [arXiv]
銭谷誠司 (personal website)



磁場で支えられた分子フィラメントの構造

f5c


Herschel衛星によるダスト熱輻射の観測から、分子雲がフィラメント状の要素からなることが 知られるようになった。一方で、近赤外線領域の星間偏光の観測は、このフィラメントが星間磁場に垂直であることを示している。 これまで知られていなかったフィラメントを横切る磁場によって支えられた等温星間雲の力学的釣り合い状態を自己無撞着場の方法で計算した。
図は奥ゆき方向に伸びるフィラメントの断面の構造の一例で、破線が磁力線、閉じた実線が密度の等高線を示す。 このような解118通りから、重力に抗して支えられる星間雲の最大質量(臨界質量)の実験式を得ることが出来た。その結果、この臨界質量はほぼフィラメントを貫く磁束に比例することがわかった。
この研究の意義は、横方向の磁場に貫かれたフィラメントという分子雲の構成要素の構造と最大質量が理論的に初めて決められたということにある。
(2014/3/21)
Magnetohydrostatic Equilibrium Structure and Mass of Filamentary Isothermal Cloud Threaded by Lateral Magnetic Field, by Tomisaka, Kohji, 2014, ApJ, 785, 24 (12pp)
[ADS] [arXiv]
富阪幸治 (personal website)



大質量星が星団の力学的進化に与える影響



星団のコアコラプス(中心密度の上昇)にかかる時間は星団の力学的進化における重要なタイムスケールである。全ての星が等質量であると仮定した理想的なモデルは理論的によく理解されているのに対し、星団の星が質量関数を持つ現実の星団に近いモデルについては、コアコラプスにかかる時間が等質量モデルと比べ短くなることが知られているものの、理論的な理解は確立されていなかった。本研究では、N体シミュレーションと解析的な計算によって、コアコラプス時間が最も重い星の力学的進化のタイムスケールで起こる(コアコラプス時間は最も重い星の質量に反比例して短くなる)ことを示した。質量関数を持つ系は、実行的には最も重い星で構成されている小粒子系と近い力学的進化をし、特に星団のコア質量と最も重い星の質量が同程度の場合、星団は中心密度の上昇をほとんど示さずに、星団の中心でできた大質量星の連星によって密度が下がっていく。大質量星を含む散開星団は、このような力学的進化を起こしていると考えられる。

動画の説明:質量関数を持つ星団の進化
赤:平均質量より100倍以上重い星、オレンジ:10-100倍重い星、黄:2-10倍重い星、緑:1-2倍、青:平均より軽い星重い星(赤やオレンジ)は力学的摩擦によって星団の中心に沈む一方、軽い星(青、緑)は外側に広がる。T=10頃に星団の中心でできる連星(赤とオレンジの星)によって、星が高速で星団の外に弾き出される。
(2014/3/17)
Michiko Fujii and Simon Portegies Zwart, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society, 2013, 439, 1003 [ADS]
藤井 通子 [personal webpage]

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