国立天文台 理論研究部

Research Highlights

最新の原子核物理学で探るIa型超新星爆発の点火条件


Ia型超新星と呼ばれる爆発的現象は、宇宙論的標準光源として用いられる重要な天体ですが、その親星や爆発機構の詳細はいまだによく分かっていません。Ia型超新星は炭素・酸素型白色矮星の熱核爆発だと考えられており、その点火は炭素の核融合反応が引き起こすものとされています。近年まで、炭素核融合反応の「起こりやすさ」(反応断面積)はこれまで知られておらず、超新星爆発の点火条件にも大きな不定性がありました。ところが、2018年にイタリアの実験グループがNature誌に新しい共鳴状態が存在するとの実験結果を発表し、炭素核融合反応の反応率が従来使われてきたものより数十倍大きい可能性が明らかになりました。そこで本研究では、彼らの実験結果を受けて、量子力学的に共鳴状態が許されるかどうかの妥当性を含めて理論的な考察を加え、従来のものより大きな炭素核融合の反応断面積がIa型超新星の点火に与える影響を調べました。その結果、白色矮星連星合体が超新星爆発を起こす前に中性子星として崩壊する確率が大きくなることが明らかになりました。

(2019/2/22)

図: 白色矮星連星合体の進化のゆくえ。M_1は主星の質量、M_2は伴星の質量を表す。青い領域の中にある系は、炭素核融合の反応率を変えることで進化のゆくえが変わる。

"Impacts of the New Carbon Fusion Cross Sections on Type Ia Supernovae"
Kanji Mori, Michael A. Famiano, Toshitaka Kajino, Motohiko Kusakabe, Xiaodong Tang, 2019, MNRAS, 482, L70
[arXiv]
[ADS]

森 寛治

中性子星の連星をつくる、外層が大きく剥がれた星の超新星爆発を発見


2017年、連星を成す二つの中性子星の合体現象が、重力波と電磁波を用いた観測によって世界で初めて捉えられました。実は、中性子星どうしの連星が作られる条件はたいへん難しいと考えられており、その形成過程はこれまで明らかになっていませんでした。この問題を解決するために、国立天文台理論研究部の守屋尭 特任助教らの研究チームは、次のような理論が唱えてきました。中性子星と連星を成している星の外層が大きく剥がれ、その状態で超新星爆発を起こすと、結果、中性子星どうしの連星が作られるという説です。そしてついに、この理論で予測された外層が大きく剥がれた超新星とよく一致する特徴を示す超新星が、過去の観測データからこのたび発見されたのです。これは、中性子星どうしの連星を形成すると考えられる超新星爆発を、世界で初めて捉えた観測と言えます。

詳しくは、理論研究部プレスリリース「中性子星の連星をつくる、外層が大きく剥がれた星の超新星爆発を発見」をご覧ください。
(2018/10/12)

図:超新星 iPTF14gqr の出現前と出現後の画像。破線の丸で囲まれた部分が超新星。超新星出現前のスローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)による画像(赤、緑の2色合成画像、左)と、2014年 10月 19日の超新星出現時のパロマー 60 インチ望遠鏡による観測画像(赤、緑、青の3色合成画像、右)。(クレジット:SDSS/Caltech)

"A hot and fast ultra-stripped supernova that likely formed a compact neutron star binary"
K. De, M. M. Kasliwal, E. O. Ofek, T. J. Moriya et al., Science, Vol. 362, Issue 6411, pp. 201-206
[Science]

守屋尭 (personal website)



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